近年では、生前整理の重要性が広く認知されてきています。
しかし生前整理をしたことのない方からすれば、次のような疑問がわいてくる場合もあるのではないでしょうか。
「生前整理って具体的に何をすればいいの?」
「生前整理をスムーズに進めるには?」
「そもそも生前整理をする必要はある?」
生前整理はご自身にも家族にもメリットのある取り組みです。
今回は生前整理をやるメリットや具体的なやり方を解説します。
生前整理のプロとして私が現場でつちかった知見も活かして解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
多くの人が生前整理に取り組むようになったのは、生前整理にさまざまなメリットがあるからです。
具体的なメリットややるべきことは次のとおりです。
そもそも生前整理とは、自分が亡くなった後のことを考えて物や財産を整理しておくことを言います。
生前整理をすると、次のようなメリットを得られます。
・家族が遺品整理をするときの負担が減る
・相続トラブルや親族どうしの揉めごとを防げる
・遺産相続に自分の意見を反映できる
・物を整理することで暮らしやすくなる
・財産を整理することで、生活設計が立てやすくなる
上記のように、生前整理は家族だけではなくご自身にとってもメリットがあります。
生前整理は60~70代で始める方が多いのですが、それよりも若い年齢から始めても問題ありません。
思い立ったらすぐに始めることをおすすめします。
なぜなら生前整理はやることが多く、時間や手間がかかるためです。
体力や思考力が衰える前に生前整理を始めれば作業もはかどりやすく、適切な判断もしやすくなります。
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生前整理でやることは、大まかに次の4つに分けられます。
・身の回りの物を整理する
・所有している財産を整理する
・デジタル端末内やネット上のデータを整理する
・相続や手続きに必要な情報、伝えたい情報を家族に残す
この記事ではこれ以降、これら4つの取り組みのやり方や注意点などをそれぞれ詳しく解説していきます。
「物」の生前整理では衣類や雑貨、家財道具などのありとあらゆる物を整理していきます。
普段から意識して断捨離をしている場合はのぞき、家にはたくさんの物があるのが普通です。
それらを効率よく整理していくやり方は、次のとおりです。
物の生前整理では、はじめに仕分けをします。
身の回りにある物を、次の3種類に仕分けましょう。
・必要(生活で使う物、貴重品、特別に思い入れのある物、形見として残しておきたい物など)
・不要(処分しても問題ない物、思い入れのない物など)
・保留(判断に迷う物)
必要・不要だけではなく「保留」を設けるのは、仕分けの判断を早くするためです。
処分するか迷う物をひとまず保留にしておくことで、作業をスムーズに進めていけます。
保留に分類したものは、半年や1年などの一定期間経ってから必要・不要を判断すると良いでしょう。
仕分けで「不要」に分類した物は、処分を進めていきます。
処分方法としては、大まかに次のような方法があります。
・自治体のゴミ回収に出す
・リサイクルショップや買取専門店に売る
・フリマアプリやネットオークションで売る
・他の人に譲る
・寄付をする
価値ある物やまだ使えそうな物は、売却したり他人に譲ったりすることも可能です。
また、慈善団体などに寄付をすることで社会貢献ができる場合もあるでしょう。
引き取り手がいない物は、基本的にゴミとして処分していくことになります。
自治体のゴミ回収に出す場合は、回収日や分別ルールなどを最初に確認しておき計画的に捨てていきましょう。
物の生前整理をするうえでは、貴重品や重要書類の保管場所を決めておくことも大切です。
保管場所を決めておくことで、もしもの際に必要なものを家族が手に入れやすくなります。
たとえば次のような物は保管場所を決め、家族にも伝えておくと安心です。
・不動産の権利証
・各種の契約書類
・保険証書
・銀行通帳やクレジットカード
・遺言書
・家や車の鍵
・貴金属などの価値ある物
これらは紛失や盗難が起きないように安全な場所に保管するようにしましょう。
物の生前整理は、時間や労力のかかる作業です。
体力的に厳しい場合や、時間・人手が足りない場合は遺品整理業者への依頼も検討することをおすすめします。
遺品整理業者に依頼すれば、物の仕分けから搬出・処分までをすべて任せることが可能です。
複数のスタッフで作業を行うため、作業期間も1~数日と短期間で済みます。
遺品整理業者は遺族が利用するイメージがあるかもしれませんが、当社のように生前整理も行っている業者は多くあります。
遺品整理を専門とする業者であれば、遺品整理の負担を減らすための生前整理を行うことが可能です。
「財産」の生前整理では、遺産相続などのことを考えてさまざまな所有財産を整理していきます。
具体的なやり方は、次のとおりです。
財産を生前整理するときはまず、ご自身の所有する財産や負債をすべて書き出してリスト化します。
このリストは「財産目録」と呼ばれ、亡くなった後に家族が遺産分割や相続手続きを行うときに役立てることが可能です。
また、あらためて所有財産を確認することで、ご自身の今後の生活設計が立てやすくなるというメリットもあります。
たとえば財産目録には、次のような情報を書きます。
・所有不動産に関する情報
・預貯金口座や現金に関する情報
・投資しているもの(株、債権、投資信託など)に関する情報
・加入している保険に関する情報
・その他の財産的価値のある物(車、貴金属、美術品など)に関する情報
・負債(ローンやクレジットカードの未払い分など)に関する情報
家族がひと目見て分かるように、これらの情報はできるだけ詳しく、分かりやすく書きましょう。
資産の額や種類は変動するので、財産目録は定期的に見返して内容を更新していくことも大切です。
財産を生前整理するときは、使っていない銀行口座やクレジットカードを解約しておくことをおすすめします。
なぜなら、これらの数が多いと遺族の手続き負担が増えたり、相続の漏れが発生したりする可能性があるからです。
亡くなったことが銀行に知られると、口座は凍結されます。その場合、家族が預金を引き出すには口座ごとに相続手続きが必要です。
クレジットカードについても、所有者が亡くなったときは各種の公的書類を用意したうえで1枚ずつ解約手続きをする必要があります。
銀行口座は用途ごとに多くても1~2つの口座だけを残し、残高が少なく使用頻度の低い口座は解約しましょう。
クレジットカードは2~3枚を残し、使用頻度が低いものや還元率が低いものを解約しましょう。
カードの解約と同時に引き落とし口座をまとめておくと、毎月の収支が管理しやすくなり、老後資金の有効活用にもつながります。
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近年はスマホやパソコン、ネット上に保存されたデータの整理も重要となってきています。
これらのデータを生前整理することで、重要な情報の流出や金銭トラブルなどを防ぐことが可能です。
データ整理の具体的なやり方は、次のとおりです。
データの生前整理は、さまざまなデータをリスト化して把握することから始めます。
次のようなデータをチェックして、名前や種類、保管場所を書き出していきましょう。
・ネット銀行、ネット証券などの口座情報(※)
・キャッシュレス決済や電子マネーのアカウント(※)
・有料サービス、サブスクリプションサービスなどの契約情報(※)
・SNSアカウント
・所有しているブログ、ホームページについての情報
・写真、動画データ
・文章データ、各種の資料
・住所録
上記のうち「(※)」がついているデータは金銭に関わるため、優先的に把握することが大切です。
これらのデータ以外にも、思いつくものはどんどん書き出していきましょう。
データのリストができたら、次はそのリストを使ってデータの整理を行います。
具体的にやることは次のとおりです。
・不要なデータを削除する
・見られたくないデータを隠す
・データの保存方法や保存場所を整理する
不要なデータを削除して保存場所を整理しておけば、もしもの際に家族が必要なデータを見つけやすくなります。
また、大切なデータは安全な保存方法に変えたり、バックアップをとっておいたりすることで紛失を防げます。
もし亡くなったあとに見られたくないデータがある場合は、専用のフォルダを作ってロックをかけておくなどすると安心です。
なお、データは日々増えていくので不要なデータは削除する習慣をつけ、データリストは定期的に更新することをおすすめします。
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データは目に見えないため、その存在はもちろん取り扱い方も記録しておくことが大切です。
次のような、データの取り扱いに必要な情報を家族が分かるようにまとめておきましょう。
・データの種類や保管場所、アクセス方法
・アクセスするために必要なIDやパスワード
・各データをどのように扱ってほしいのか
注意が必要なのは、情報を記録したメモを紛失するリスクを考えて、暗証番号やパスワードをそのまま記載しないことです。
家族だけに分かるヒントで伝えるなどすると安全です。
亡くなった後のデータの取り扱い方に希望がある場合は、それも記録しておきましょう。
たとえば「仕事のデータは○○さんに送ってほしい」「SNSは追悼アカウントに変更してほしい」などといった要望を記録します。
手続きが必要なデータについては、手順や必要書類なども記しておくと家族の負担を減らせます。
生前整理においては、必要な情報を家族に伝えることも大切です。
遺産相続やその他さまざまな判断に必要な情報を残しておけば、相続トラブルや揉めごとの発生を防げます。
家族へ情報を残す方法としては、次のようなものがおすすめです。
家族へ情報を残す方法の一つにエンディングノートがあります。
エンディングノートは「最期に備えて残しておきたい情報を記したノート」で、次のような内容を記しておくのが一般的です。
・万が一の場合に家族が手続きや判断を行うために必要な情報
・手続きや判断に関する自分の希望
・家族や親族、友人に伝えたいメッセージ
生前整理で生じた、次のような情報をエンディングノートに書いておくことも可能です。
・財産目録
・貴重品の保管場所
・データの取り扱いに必要な情報
・遺言書の保管場所
エンディングノートに決まった書き方はないため、これらの情報以外にも好きなことを書けます。
書き方に迷う場合は、書店や文具店で市販されているエンディングノートを利用しても良いでしょう。
遺産相続に自身の意思を反映したい場合は、遺言書の作成も考えましょう。
エンディングノートと遺言書の違いは、法的な効力があるかどうかです。
正しい方法で作成された遺言書は法的な効力を持ち、原則としてその内容に従う必要があります。
例をあげると、遺言書には次のような内容を書くことができます。
・相続に関すること(相続分の指定、遺産の分割方法など)
・身分に関すること(子の認知、後見人の指定など)
・遺言の執行について(遺言執行者の指定など)
作成においては、法律上注意すべき事柄が多くあるため弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
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最後にもう一度、「生前整理のやり方」についておさらいしましょう。
・生前整理では物・財産・データを整理したうえで、家族へ情報を残す
・「物」の生前整理では、身の回りの物を仕分けて処分する
・「財産」の生前整理では、財産目録の作成や不要な銀行口座の解約などを行う
・「データ」の生前整理では、さまざまなデータをリスト化して整理する
・エンディングノートや遺言書などで、「重要な情報を家族へ残す」ことも大切
生前整理でやることは多くありますが、家族にもご自身にもメリットがあります。
少しずつでも良いので、ぜひ取り組んでみることをおすすめします。
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